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僕にとっての『優しいひと』
お父さんとお母さんの顔は、あんまり覚えてない。
もう何年も昔に、パルマコスタの『血の粛清』で、英雄だと言われたロイド・アーヴィングに殺された。
だから僕は、いくら世界を救った英雄でも、ロイドが大嫌いだ。
もとから好きだった訳じゃない(知ってたわけでもなかった)し、僕の住んでる街には、英雄ロイドの銅像までもが建てられているから、正直言って我慢ならない。
冗談じゃない。どうしてあんな奴にみんな拝むのか。それは、英雄だからなのか。
英雄だったら、人殺しでも許されるって言うの?
そんな事を思っているのは、このロイドを拝む街では、僕だけだった。
だから僕は、この街では邪魔者扱いだった。あっちへ行けだの、こっちに来るなだの。
僕は被害者なのに。ロイドに両親を殺された、被害者なのに。そんな僕の方が異端扱いされるなんて、もう意味がわからない。僕の居場所は此処にはないし、どこに行っても無いと思う。
散歩をしているだけで、いつもの双子に馬鹿にされる。ああもう、関わらないでほしい。勇気がないから、そんな文句さえ言えないけど。
挙句の果てに、ロイドの銅像に忠誠を誓え?そんなこと、死んでもしたくない。
そうしたらほら、また僕は何もできない。いじめられても、手を出す勇気なんてない。
前から突き飛ばされて、尻もちをついた。もう慣れたから、恥ずかしくはなかったけど。
そんなときに。
後ろに尻もちをついたとき、赤い髪の怖い顔をした人の足のぶつかっちゃって。
この街では初めて見たけど、きっとこの人もロイド信者だ。僕の様子を笑いに来たのかな。
って。
おもってた、けど。
その怖い顔の人は、僕の腕を引っ張って、立たせてくれた。
「……失せろ。」
双子にそう言って、すごい顔で睨んでた。
…助けてくれた人だけど、正直、怖かった。
でも、そんな人でも。
僕がこの街で初めて出会った『優しさ』だった。
ぶっきらぼうで、厳しい口調の人だったけど、僕にとっては『優しいひと』で。
きっとこの人は、この世界で一番『優しいひと』なんじゃないかって、僕は疑う余地も無かった。
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メインはエミルのリヒターに対する印象です。ほんとです。最初の方じゃないです。最後の短い方です。
最初の方はあれです。何だか考えたら楽しくて。捏造な部分もありますがね!!
ちなみに私はその時いらっときたので、忠誠を「誓わない」にしてしまいました。