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2026年06月13日
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レンアイカンの話(スラダン:問題児軍団)

2013年12月27日

花道の恋愛観は小学生のうちに止まっていた。
彼の夢は、好きな子と手を繋ぎながら登下校することだった。
それを嬉々としながら部室でリョータや三井に話していたのだが、話に参加していないながらも同じ部屋で着替えをしていた流川はその話を聞いていた(正確には「聞こえていた」)。

「花道よぉ、お前の話って聞いてるの本当に微笑ましいんだけどよ。もうすこーしオトナになってもいいんじゃねえ?」

3年である三井はそうやってやんわりと言った。彼は言いたいことは何でも言えるタイプだったが、あまりにも花道が楽しそうに話すので水を差すのは気が引けたのだ。
しかし花道はその言葉の意図がわからなかったのか、ふぬ?と首を傾げるだけであった。
この男は。何故こうも見た目に似合わずロマンチストというか、純粋というか、お子様なんだ。いや、寧ろある意味見た目相応でもあるのかもしれない。
三井がどう言おうかうぬぬと頭を捻っていると。

「……ガキ」

ポツリとそんな呟きが聞こえた。
その台詞は間違いなく花道のそれに向けられたものだった。三井もリョータも肩を強張らせる。
花道がいかにも不機嫌そうな表情で、ロッカー近くでのそのそと着替えていた流川を見た。

「なんだとぉ?ルカワコラ!」

テメーには聞いてねーっつーに!と花道は憤慨する。
リョータと三井は目を合わせた。このままでは二人の殴り合いの喧嘩が始まってしまうと踏んだのだ。
しかし予想に反して花道は動かなかった。不機嫌そうな顔はそのままに、腕を組んで流川に向き直る。

「じゃー、テメーのレンアイカンはガキじゃねーっつーのか」

花道が流川に会話を求めている!
リョータも三井も予想外で、ついでに流川も少し意外そうに花道を見ていた。どうせ喧嘩になるだろうと思っていたからだ。二人は不自然にならないように体から力を抜いた。
花道がこんなことを流川にわざわざ聞くとは珍しい。興味でもあるんか。リョータはそう思いながら口に出さなかった。多分きっと、自分は花道以上にこの会話に興味がある。ここで水を差してしまっては会話が終わってしまうかもしれないと考えた。三井も同じだろうとちらりと横目で見ると、彼は笑いをこらえているのか肩を震わせていた。まだなんもしてねーのに笑うとか早すぎだろ!

「少なくとも、テメーよりはガキじゃねー」
「人のことガキガキ馬鹿にしやがって!じゃーテメーのオトナぶってるレンアイカンを聞かせてみろや!」

まあ、今時花道よりガキっぽい恋愛観を持ってる人間なんて、何にも知らねー赤ん坊くらいのもんじゃねーの。三井とリョータは本気でそう思っていたのだった。
流川はそのまま花道をスルーすると思っていた。しかしやはり予想に反して、流川は花道の顔をじっと見つめ、考えるように顎に手を当て始める。
なんだか今日のこいつらは喧嘩しねーなぁ。そんな些細なことがなんかちょっと気持ち悪いなあと理不尽に感じながら、果たして流川は何と答えると三井もリョータも内心そわそわしていた。
流川は真っ黒な瞳を瞬きもさせずに花道に向け続けている。当然花道は流川の瞳からなにも得ることはできず、見つめられていることを居心地悪く思いながらも目を逸らしたらオレの負けだとよくわからない対抗心を抱えながら耐えていた。

「……まずフツーに告白する」

ようやく流川の口がゆっくりと動いたのを皮切りに、三井もリョータも考えていたことを全て捨ててその声に耳を傾けた。

「で、オッケー貰ったら、その日一緒に帰る」
「部活はどうすんだよ」
「……………終わるまで待ってもらえたら、一緒に帰る」

そう返答を得て、何故か花道は満足そうだった。

「昼はまあ……多分、屋上で一緒に食う」
「ふんふん」
「食い終わったら膝枕してもらって寝る」
「ふんふ……ん?」
「起きたら、カノジョにキスする」
「えっ、きっ?!」
「ガッコー終わったらカノジョんちかオレんちに一緒に行く」
「!!」
「あとはまあ、そのままセッ」
「だーーーーーーーーーーっっっ!!!!!」

花道が力いっぱい流川を突き飛ばすと、その先にいた三井とリョータを巻き込んで派手な音を立てて三人が床に転がった。
なにしやがるどあほう、と眉根を寄せた流川が視線を上げたとき、花道は目を信じられんとばかりに見開いて顔をその髪色に負けないほどに真っ赤にしていた。

「けっ、け、けけけ、けっ」

け?

「けっ、ケダモノじゃねーかそんなん…!!」

ケダモノ。
三井は噴き出したが花道は至って真面目だった。
それって体以外には興味が無いってことじゃあないか。付き合ってすぐキスして家に連れ込んでそのまま懇ろになるなど、花道は考えたこともなかった。キスは付き合って一か月後、家に招くのはその更に一か月後、体を繋げる予定はそもそも考えていない。
それなのに流川は、付き合い始めて次の日ですでに花道にとっての三か月分のことを致そうというのだ。

「テメーのそれはオトナじゃなくてっ、ただのケダモノだ!!」

こんの変態ヤロー!!と花道は叫んで部室から勢いよく出て行ってしまった。鞄も持たずにどこへ行くのか。きっと後で帰ってくるだろうなと床に転がったままリョータは思った。
まあでも確かに、逃げたくもなるだろうな。どこまでも健全でプラトニック以下の付き合いしか想像できない花道に、流川の発言はあまりにも衝撃的だっただろう。というか、そもそもの流川の発言に驚いた。あの流川が、あの流川がムッツリオープンスケベ的な思考を持っていたとは。違和感しかない。
立ち上がったリョータは、相も変わらず腹を抱えて震えながら床に蹲る三井の背中を擦りながら流川の後ろ姿を見つめた。

「………おもしれー」

確かにそう、流川は呟いた。
リョータは驚いて目を瞠ったが、その時の流川の顔はいつもと変わらず無表情で、そのまま着替えの手を再開させていた。


(流川のやつ、もしかして花道をからかったんか)

ヤツの思考は全く読めん。

――――――――

中途半端だけど終わる
問題児軍団がきゃっきゃしてるのが可愛い
花道をからかう流川と、お兄ちゃんっぽいリョーちんが書きたかっただけ
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